「感謝と認知」は全ての人に対する動機づけ条件
成果に結びつく行動を認知する
トータル・リワードの「金銭面以外の報酬」に示されるように、「お金」や「地位」だけが行動(仕事)の動機づけ条件になるとは限りません。人によって動機づけ条件は異なります。
とはいえ、全ての人に対して動機づけ条件となり得るものもあります。
それは、トータル・リワードの「A」=「感謝と認知」すなわち「相手を見つめる」ことです。
認めるのは、部下が達成した「成果」だけとは限りません。
マネジメントとは、部下に「会社の業績アップに結びつく行動を続けさせること」ですから、行動の結果にメリットを与える、あるいはメリットのある結果を用意するのがリーダーの役目です。
「その行動はよかった」という
これまでのマネジメントでは、「認知」と「評価」が混同されていました。
行動マネジメントでいう認知は、あくまでも「行動」に対するものです。それは、部下が「望ましい行動」をとった際に「その行動はよかった」ということです。
たとえば、ピアノコンクールで優勝を狙っている子どもがいるとします。
親は、子どもの何を認知し、称賛すべきかといえば「毎日の練習」です。
優勝に結びつく行動が、「毎日2時間、ピアノを練習すること」だとしたら、
その毎日の練習という行動に対して「今日もよくがんばったね!」と声をかけるべきなのです。
これによって、子どもは「練習をしたら認められる」ために、行動(練習)を繰り返します。
これは大人でも同じです。人から認知されることが、仕事の原動力となるのです。
営業部門の社員は売上成果という数値で結果が現れるので、認知も容易ですが、間接部門、事務職などは業績アップに結びつく行動が目立たない(あるいは関係しない)場合があります。
そこで、彼らには、「存在の認知」をすることが有効です。
「あなたがいてくれるおかげで、会社が助かっている」という感謝を、常日頃から思うだけでなく、言葉や態度で示しましょう。
存在を「認知」して「感謝」を示すことが動機づけ条件となります。
リーダーは、「感謝と認知」がすべての社員にとっての動機づけ条件になることを理解しなくてはなりません。