前回の記事に引き続き、人生とお金の知恵についてパート24を記載します。
【不確実な人生に船出する】
2)自己責任
・自己責任とは、「自分で意思決定したことの結果には、自分で責任を負う」ということです。
・契約の責任を負うことも自己責任の一部です。契約は本来自由にできるものです(契約するか、どんな内容にするか、誰と契約するかなど~契約自由の原則)。自由な意思に基づいて契約した以上、その責任も負うのが当然で、自己責任は経済社会の大原則となっています。
・人生においても同様です。「自分で意思決定したことの結果には、自分で責任を負う」との自覚に基づいて、意思決定する必要があります。責任を負う以上、意思決定する前に情報を集め、よく考えたうえで決めることが大切です。
・未成年者が契約したとき、成年者でもだまされたり強制されて契約したときは、責任は限定されます。自由な意思に基づくと言い難いためです。
・情報の「非対称性」などが存在する場合も、自己責任原則が修正されます。消費者契約法は、消費者と事業者の間には情報力や交渉力に格差が存在することを踏まえ、事業者による問題のある契約締結の手法を挙げ、その手法によって契約をした場合の消費者の取消権や契約の無効を定めています。たとえば業者に不実告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知があり消費者が誤認したとき、不退去や退去妨害があり消費者が困惑したとき、消費者は取り消しできます。自由な意思決定が妨げられたと考えられるためです。
3)リスクとの付き合い方
リスクとリターンの関係
・「リスクとリターンの関係」とは、「高いリターンを得ようとすると、リスクも高まる」(ハイリスク・ハイリターン)、「リスクを低く抑えようとすると、リターンも低くなる」(ローリスク・ローリターン)というものです。
リスクとリターンの関係
この関係を理解することは、人生における意思決定をするときにも役立ちます。たとえば「虎穴に入らずんば、虎児を得ず」「No pain, no gain(世の中においしい話はない)」などの格言も、このような見方を示しています。
職業の選び方について考えてみましょう。一般に、仕事の報酬は、提供する価値の大きさに応じて決まります。競争社会の中で、高い価値を提供するためには、差別化するための努力が不可欠です。高い価値を提供しようとするほど、差別化のための工夫は難しくなります。ハイリスク・ハイリターンの職業の代表例としては、事業家、アーティスト、プロスポーツ選手などが考えられます。
どのようなリスク・リターンの職業を選ぶかは、個人の価値観の問題です。また、どんな仕事でも、工夫によって価値を高めることができる可能性があります。就職した後も、「より高い価値を提供するために、工夫できることはないか」と常に考えましょう。
リスクとのつきあい方
- 幸福や成功を目指してチャレンジする場合、リスクをとることが必要です。しかし、一方で、「どのようなリスクをとるか」を真剣に検討する必要があります。
- 「リスクをとる」場合、資源(時間、お金、能力など)を投入することになります。資源は有限ですから、「とるリスク」は選別する必要があります。
- 「どのようなリスクをとるか」は、それぞれの人の価値観やライフデザインと関連します。
- 一般的には、老後までの生活(また収入源)の大きな部分を仕事が占めます。仕事上のリスクに向き合い、リスクを克服する努力に多くの資源(時間、能力など)を費やすことになります。
- その結果、投入できる時間や労力はさらに限られることになります。「何に、時間や能力を投入するか」が問題となります。「とるべきリスクを選別する」ことがポイントとなります。