前回の記事に引き続き、人生とお金の知恵についてパート17を記載します。
【お金の運用】
4)金融経済の状況と金融商品
分散運用
【時期の分散】
・「時期の分散」とは、投資する時期(タイミング)を分散することです。
・価格が変動する金融商品を買う場合、時期によって価格が異なるため、買う時期を誤ると大きな損失を被ります。もちろん、先行きの価格の変動は、誰にもわかりません。
・こうしたリスクを軽減する方法として、たとえば「定期的」に「一定額」で、価格の動きに関係なく価格変動商品(たとえば株式、外貨建て資産など)を購入していく方法があります。「定額購入法」といいます(「ドル・コスト平均法」と呼ばれることもあります)。
➡たとえば「毎月」一定額の例で説明すると、毎月「一定額」で購入していくため、「価格が高い月には少ない数量しか買わず、価格が低い月には多くの数量を買う」ことになります。
➡この方法を使えば、いわゆる“高値づかみ”(最も高い値段だけで買うこと)を避けることができ、取得価格の平均値を下げやすくなります。
・具体的には、自分で「毎月○万円」と決めて投資したり、「積み立て型」(毎月○万円)の商品を購入することが考えられます。
・ただし、この方法でも、中長期的に価格が下落する場合には、損失が発生します。このため、中長期的に価格が上昇していくと考えられる優良な資産を選ぶことが最も重要です。また、対象の分散も考えましょう。手数料などのコストにも注意しましょう。
【地域の分散】
・「地域の分散」とは、投資対象とする地域を分散することです。「国際分散投資」と呼ばれることもあります。たとえば、日本企業の株式だけではなく海外企業の株式にも投資する、円建ての債券だけではなくドル建てなどの債券も保有する、といったことです。
・「地域の分散」は「対象の分散」に含められることも多く、目的も同じです。たとえば海外の株式と日本の株式は価格の動きが異なることを利用して、日本の株式だけを保有する場合に比べ、資産全体のリスクを減らすことを目指すものです。
・私たちのくらしの中では、海外企業の商品はすでになじみあるものとなっています。公的年金の積立金の運用でも、「国際分散投資」の考え方に基づき外国債券や外国株式への運用が行われています。心理的に無理のない範囲で、「国際分散投資」を検討してみましょう。
【長期運用】
「長期運用」とは、お金の運用を長期間行ったり、長期的な観点から行うことです。
・お金の運用を長期間行うと、複利の力が大きく働きます。このため、運用に回せるお金をなるべく早く貯め、長期間運用するのが理想です。複利の力を働かせるとの観点からは、利子や配当などを受け取ったときは、余裕資金である限り、できるだけ早く再び運用に回す(=運用元本に加える)ことが大切です。
・お金の運用を長期的な観点から行うことができれば、たとえば一時的な経済ショックや景気後退による株価下落時に最も安い価格で売却してしまい、結果的に損を大きくしてしまうことを避ける効果も考えられます。また、投資の「時期の分散」も行いやすくなります。
・なお、「何かを買ったら、その商品を長期間保有し続けること」(バイ・アンド・ホールド)を、「長期投資」の1つの内容とする考え方もあります。ただし、長期間保有し続けるのにふさわしい内容の資産であるかどうかが重要です。
たとえば株式の場合、株価は企業業績(とくに利益)の影響を大きく受けますから、企業業績 (とくに利益)が長期的に拡大していくような企業であることが望まれます。