サブゴールをクリアしていき、ラストゴールにたどり着く
ピンポイント行動を何度もやらせる
ハイパフォーマーの行動を分析し、ピンポイント行動をリスト化してチェックする仕組みができたら、次は、技術を「反復トレーニング」する段階です。
結果に結びつく望ましいピンポイント行動を、できるようになるまで何度もやらせるのです。
言ってみれば「苦手の克服」です。
技術の反復トレーニングをする際のポイントは、
「ちょっとずつやらせる」ことです。
「ちょっとずつやる」とは、
小さな目標(サブゴール)をクリアしていき、最終的な目標(ラストゴール)にたどり着く
という臨床心理学の分野で確立された科学的手法です。
例えば、まったく泳げない人に対しては、次のような水に慣れさせるところから始めます。
①プールに入る
②プールの中を歩く
③水に顔をつける
④頭まで潜る
⑤体を伸ばして水に浮く
こうしてちょっとずつ段階(サブゴール)を踏んで泳ぐという目標(ラストゴール)に向かわせます。
ビジネスでもこの原理は同様です。
達成と自己効力感を味わわせる
例えば、電話応対が苦手な若手社員がいるとします。
「彼らはエールやLINEの世代だから仕方ないな」
「生まれたときから携帯電話があったから、電話の取次ぎなんてしたことないんだろうな」
と彼らのバックボーンのせいにしては何の解決にもなりません。
ここでも、段階を踏んで「ちょっとずつ」やらせることを仕組みとします。
①飲み会の予約、備品の発注など、なんでもいいので1日5回以上電話をかけさせる
②用意したゲンクどおりのトークで電話営業を行う。成果は問わない
③原稿を見ずに話す。成果は問わない
④あらかじめ用意した質問を電話の相手にぶつける。成果は問わない
こうしていくうちに、部下は電話への苦手意識を克服し、営業相手との会話にも慣れていきます。
評価は、各段階で「行動」をとったことに対して行います。
行動をとったことが「メリットのある結果」=評価される(認められる、称賛される)ということであれば、人は行動を繰り返します。
同時に、各ゴールに到達するたびに、部下は「やり遂げた!」という達成感と、「自分にもできる!」という自己効力感を味わうことになります。
これが部下をさらに次へのゴールへの行動に向かわせます。